台湾特許の概要
台湾は世界の特許産業でも最も活動的な国の中の1つであり、米国での特許出願国において常に上位5位または6位にランクされています。過去5年間の毎年、世界中からの企業や発明者が台北の台湾知的財産局(TIPO, Taiwan Intellectual Property Office)に7万~8万件の特許を出願しています。
台湾は特許協力条約(PCT, Patent Cooperation Treaty)またはパリ条約に加盟していません。しかしながら、台湾はWTOの加盟国であり、すべてのWTO加盟国の出願者は台湾で特許を出願するとき優先権を主張できます。
台湾の基本的な特許システムは世界の主要な特許システムとほぼ同じです。台湾特許法第24条に基づき、台湾では以下の項目の特許を取得することはできません。
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動物、植物、及び動物や植物を生み出す主な生物学的方法。但し、微生物学的方法はこの限りでない。 |
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人体または動物の病気の診断、治療または外科手術の方法。 |
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公序良俗または公衆衛生を害するもの。 |
台湾には (日本、ドイツ、中国同様)、 特許、実用新案、意匠の3種類 の特許があります。
特許
主題 |
自然の法則を利用した技術的概念の創作、例えば材料、組成物、機械、物品、方法、ソフトウェアプロセス、微生物など。 |
審査請求 |
台湾での出願日から3年以内。 |
公開 |
台湾での出願日または優先権日から18ヶ月。 |
請求項の数 |
請求項の合計数が10項目を超過する場合、追加料金(1請求項につき規定費NT$800)がかかる。 |
交付までの期間 |
平均2~3.5年。 |
早期審査 |
あり。実際には2つの主要な方法がある。
1. 対応する外国特許出願が査定済み拒絶理由通知書(granted Office Action)を受領した場合、出願人は許可された外国特許の請求項を付して、早期審査請求を申請することができる。
2. 出願人が市場で製品の侵害を発見した場合、カタログやウェブサイトなどの証拠を付して早期審査請求を行うことができる。
台湾IPOは早期審査請求を受け付けてから6ヶ月程度で拒絶理由通知書(Office Action)を発行する。 |
保護期間 |
出願日から20年間。 |
再審査 |
出願が拒絶された場合、出願人は審査請求を行うことができ、その際は異なる審査官によって審査が行われる。 |
特許種類の変更 |
出願された特許出願の主題が実用新案の主題(機械、物品など)にもなる場合、出願人は特許を実用新案に変更することができる。実務上このような変更のタイミングは、出願人が拒絶査定の拒絶理由通知書を受領し、特許取得の可能性が低いと判断したときである。 |
異議申し立て期間 |
異議申し立て期間はない。許可されると、証書料金が支払われた後に証書が発行される。 |
特許維持年金 |
特許が許可された後の年金である。 |
侵害 |
侵害は周辺限定主義と中心限定主義の中間(周辺限定主義に近い)で判断される。特許権の範囲は特許明細書で説明される請求項に基づいて決定される。特許の説明と図面は特許出願における請求の範囲の解釈時に参考として用いられる。 |
無効 |
誰でも特許無効申し立てができる。 |
訴訟 |
民事賠償のみ、刑事賠償なし。 |
実用新案
主題 |
機械、装置、物品などの物品の形状、構成、または構造(日本、中国、韓国の実用新案に類似)。 |
登録 |
台湾の実用新案には実体審査がなく、登録のみ(日本、ドイツ、中国、台湾の実用新案に類似)。 |
交付までの期間 |
4~7ヶ月。 |
請求項の数 |
請求項の合計数が10項目を超過しても追加料金はかからない。さらに2つ以上の独立項が許可される。 |
保護期間 |
出願日から10年間。 |
技術報告書 |
特許権所有者が自身の実用新案を強化したい場合、実務上、特許性に関して台湾IPOが発行する技術報告書を要求する必要がある。技術報告書で特許性が高いとされた場合、特許権所有者は自身の実用新案を強化することができる。 |
特許種類の変更 |
出願人は実用新案を特許に変更することができるが、この要求は査定済み拒絶理由通知書(granted Office Action)の受領より前に提出されなければならない。実用新案は非常に迅速に処理されるため、実務上、そのような変更の機会は非常に稀であり、出願人は実用新案の出願から3ヶ月以内に要求を行う必要がある。 |
異議申し立て期間 |
異議申し立て期間はない。許可されると、証書料金が支払われた後に証書が発行される。 |
特許維持年金 |
実用新案が登録された後の年金である。 |
侵害 |
侵害は上述の特許と同じ方法で判断される。 |
無効 |
誰でも無効を申し立てることができる。 |
訴訟 |
民事賠償のみ、刑事賠償なし。 |
意匠
主題 |
物品の形状、模様若しくは色彩またはこれらの組み合わせであって、視覚を通じて美感を起こさせるもの。 |
関連意匠 |
本意匠(親意匠)から派生した、及びそれに類似した創作について、「関連意匠」出願ができる。関連意匠は 親意匠と同時に期限切れとなる。 |
審査 |
台湾意匠には実体審査がある(米国、日本、韓国と類似)。出願後、意匠出願は別途要求の必要なく、自動的に審査される。 |
部分意匠保護 |
台湾ではまだない。修正される新しい特許法には部分意匠の保護が含まれる。 |
交付までの期間 |
10~18ヶ月。 |
保護期間 |
出願日から12年間。 |
異議申し立て期間 |
異議申し立て期間はない。許可されると、証書料金が支払われた後に証書が発行される。 |
特許維持年金 |
意匠が許可された後の年金である。 |
無効 |
誰でも無効を申し立てることができる。 |
訴訟 |
民事賠償のみ、刑事賠償なし。 |
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